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ボツリヌス菌が産生する毒素である、ボツリヌストキシン(通称:ボトックス)は、神経筋接合部において、神経伝達物質であるアセチルコリンの放出を阻害して、筋肉の収縮を抑制する(筋肉をリラックスさせる)作用があります。
歴史的には、1970年代から、ボトックスは斜視の治療に利用されました。80年代には眼瞼痙攣(がんけんけいれん)などへの治療効果が確認され、顔面痙攣、痙性斜頸(けいせいしゃけい)、小児脳性麻痺に伴う尖足(せんそく)、上下肢の痙縮(けいしゅく)、原発性多汗症、過活動膀胱(ぼうこう)、神経因性膀胱など、現在も治療対象が広がっています。
美容目的のボトックス使用については、90年代に表情じわを弱める効果が報告され、2002年に米国FDAにより、眉間の表情皺に対するアラガン社のボトックスビスタ®の使用が承認され全世界に普及しました。
日本国内においては、2009年にボトックスビスタ®が眉間の表情皺に対する治療薬として承認され、その後2016年には目尻のしわへの適応追加がなされました。
2024年現在、多数の国で作られた様々な製品が流通し、多くの病院やクリニックで治療を受けることができます。(*日本国内の健康保険適応の治療には、グラクソスミスクライン社製ボトックス® が使用されています。)
ボツリヌストキシンは毒素の抗原性の違いからA~Gの7種類に分類され、そのうちヒトの神経系に作用するものは5種類(A、B、E、F、G)であることが分かっています。現在、医薬品として用いられるのはこのうちのA型です。A型ボツリヌストキシンを治療する部位、使用する単位量に応じて、生理食塩水で溶解します。
ボトックス治療の禁忌、要注意の方を除いて、多くの方に安定した治療効果が出ます。一度の治療にかかる時間、費用は小さい。痛みはわずか(注射針を刺すだけ)。薬の効果が切れれば、治療前の状態に戻ることができる。
ボトックス注射は筋肉や、汗を分泌する汗腺の働きを抑制することができる治療です。 医師が極細の針で施術部位にボトックスを注入します。効果の度合いや持続期間には個人差がありますが、効果は治療後2~3日であらわれ、効果は約4~9か月持続します。
ボトックス注射は、お顔、ふくらはぎ、わきなど様々な部位やお悩みに対して対応が可能な治療です。
脇、頭皮、手のひらなどの多汗症にお悩みであれば、局所の皮膚内にボトックスを注射することで、エクリン汗腺からの発汗を抑えることができます。
*腋臭症、いわゆる『わきが』へのボトックスの効果は乏しく、わきがでお悩みの方は手術や高周波治療を検討した方が良いです。アポクリン汗腺への治療が必要なためです。
顔面には多数の表情筋が存在し、各々の筋肉と表情皺が対応しています。額の横皺に対しては前頭筋、眉間の縦皺に鼻根筋、皺眉筋、目尻の皺に眼輪筋、口周りの小皺に口輪筋、オトガイ(下顎の先端)の梅干しの種状凹みには頤筋、といった筋肉内にボトックスを投与することで、表情皺を弱めることができます。
また、上唇挙筋、上唇鼻翼挙筋といった唇を頭側に動かす筋肉をリラックスさせることで、ガミースマイルを改善します。口角を下向きに引っ張る口角下制筋をリラックスさせることで、口角は上向きに動きやすくなり、ニコッとした笑顔を作りやすくなります。
ボトックスは筋肉の収縮を弱めるため、働かない筋肉は段々と痩せていきます。入院や手術のため寝たきりの期間が続いて、筋肉が落ちてしまった、というのに似ていますね。
小顔目的のボトックス治療(エラボトックス)では、頬骨と下顎の骨を繋ぐ咬筋という筋肉に注射します。咬筋が小さくなれば、お顔がシュッとして小顔に見えるわけです。注意点として、ボトックスの効果が切れると再び筋肉が動きだし、治療前の大きさに戻っていきます。ですから、薬の効果が残っているうちに、4~6か月程度の間隔で、数年間治療を続ける必要があります。長期間の治療を続ければ、ボトックス治療を完全に止めてしまっても、以前ほど筋肉は大きくならないものです。
ボトックスは筋肉の緊張を弱める効果を持つため、意識的、あるいは無意識のうちに身体に力が入ってしまう方を、リラックスさせることができます。中には健康保険の適応になっている疾患もあります(眼瞼けいれん、片側顔面けいれん、痙性斜頸、上下肢の痙縮など)。
肩こりや頭痛、歯ぎしりといった、筋肉の過剰な緊張が引き起こす症状に対して、局所の筋肉へボトックスを注射することで、症状を和らげることが可能です。肩こりに対しては僧帽筋に、頭痛、歯ぎしりに対しては側頭筋、咬筋へ注射します。肩こりや頭痛、歯ぎしりを改善することができます。
脇汗、衣服の汗じみ対策にボトックスがお勧めできるのは、お手軽に大きな治療効果が得られることです。飲み薬、塗り薬はボトックス注射ほどの効果が得られないこと、飲み薬は毎日、塗り薬は週に2回ほど続ける必要があります。手術も多汗症、腋臭症に治療効果が高いのですが、痛みや腫れなどのダウンタイムが続く、局所の安静が必要、傷痕が残るなどの欠点が大きく、治療には十分に検討する必要があります。
通常、ボトックスの効果は4~6か月間持続します。脇汗に対する治療目的でしたら、春から初夏に注射を受ければ、夏の間は充分にボトックスの効果が続きます。
冬場の厚着、暖房による汗が気になる方は、冬にも1回注射を受けるという選択肢もあります。
ボトックス治療は注射器で皮膚を刺しますので、痛み、腫れ、内出血が数日間続く可能性があります。
通常、ボトックスの効果は4~6か月間持続します。脇汗に対する治療目的でしたら、春から初夏に注射を受ければ、夏の間は充分にボトックスの効果が続くといえます。
2~3か月未満といった短期間でボトックス治療を続けると、毒素に対する中和抗体が作られ、今後のボトックス治療の効果が弱くなります。ご注意ください。
ボトックス治療は注射器で皮膚を刺しますので、痛み、腫れ、内出血が数日間続く可能性があります。
注射を受けた局部をぶつけない、擦らない、揉まないこと。運動や長時間の入浴、アルコールは腫れや出血を助長します。
ボトックスは熱に弱い薬品であるため、効果がしっかりと発現するまでの数日間~1週間の間は、サウナや岩盤浴といった、極端に高温になる場所へ立ち入らないで下さい。
ボトックスビスタ | 88,000円(税込) |
イノトックス | 66,000円(税込) |
全身的なものでは、嚥下障害、呼吸障害、痙攣発作、アレルギー(アナフィラキシーショック)の可能性があります。自律神経失調症、めまい、頭痛、脱力感、筋肉痛等。顔面の治療では、閉瞼困難による角膜障害、眼瞼下垂、表情が乏しくなる、等の可能性があります。
注射を受けた局部をぶつけない、擦らない、揉まないこと。運動や長時間の入浴、アルコールは腫れや出血を助長します。
ボトックスは熱に弱い薬品であるため、効果がしっかりと発現するまでの数日間~1週間の間は、サウナや岩盤浴といった、極端に高温になる場所へ立ち入らないで下さい。
ボトックスの効果は概ね4~6か月間です。2~3か月未満といった短期間でボトックス治療を続けると、毒素に対する中和抗体が作られ、今後のボトックス治療の効果が弱く(効かなく)なります。ご注意ください。
ボトックスの効果は概ね4~6か月間です。表情皺に対する治療であれば、効果が切れたかなと感じたら、次回の治療を受けられると良いです。小顔、ふくらはぎ痩せなど、筋肉を小さくしたい場合では、薬の効果が完全に無くなる前に、次回の注射を受けることが大切です。
神経筋接合部疾患:重症筋無力症、筋萎縮性硬化症、ランバート・イートン症候群などの病気をお持ちの方。妊娠中、または妊娠可能性のある女性。授乳中の方は禁忌です。
ボトックス治療後は避妊してください(男性3か月間、女性2か月間)。
筋弛緩薬、抗痙攣薬、筋弛緩作用のある抗生物質、精神安定剤を使用中の方、閉塞隅角緑内障の方、等は主治医にボトックス治療を受けて良いかご相談下さい。
多くのクリニックでは、ボトックス治療の際には、注射を受ける部分(顔面、肩、脇、手の平など)をアイスパック等で冷やしながら注射しています。事前にリドカイン含有の麻酔クリームを使うこともあります。
ボトックス注射にご興味をお持ち頂けたなら、アスク美容クリニック銀座にお問い合わせください。脱毛などの他の治療で通院中の方も、気軽にお声掛けください。
医師
企業産業医活動に従事し、予防医学にも力を入れる。
内科と予防医学の知識を活かし美容皮膚科・美容内科の診察を行なっています。
岩手医科大・医学部医学科 卒業 |
静岡県内病院にて臨床研修修了 |
静岡県内の透析病院に勤務。一般内科・人工透析等に従事 |
アスク美容クリニック銀座 非常勤医師 |
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